虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


「っく・・・」



そっと、わたしを抱きしめる一条。


トントン、とそっと背中を叩いてくれている。



「大丈夫、俺は何も見てないから」


「つぅ――――っ!!」



わたしは、声を押し殺し泣きじゃくった。


一条の腕の中で・・・これが平助君だったら。


と、思ってしまうわたしがいた。



泣き止んだら、こんどこそ泣かない。


これで、最後にするんだ。

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