虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


そっと屯所の敷居を跨ぐ。


クルッと振り返り、食い入るように屯所を眺めた。


ここに来た時と、全然変わらない・・・



しばらく見た後、わたしは再び歩き出した。


そっと、あの髪紐を握り締める。



「平助君・・・いつか、会いたいね・・・」



浅葱色の、お揃いの髪紐。


わたしは、自分の髪に付けていたそれを、スッと外した。


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