縛め
その気持ちを隠すように俺は茶化しながら

「でも、普通気づくだろ?
 男も馬鹿じゃないんだから」

コーヒーを飲みながらチラッと彼女の顔を見る。
その顔が、さっきまでの笑顔とは違って
少し悲しそうに見えた。

「気づかないよ。
 愛したのはホントだもの
 ただ、それより復讐の感情が…勝ったの
 それだけ」

少し俯きながら語る彼女は
今にも泣きそうに見えた。
そんな彼女を頬に俺は手を伸ばしていた。

「なに?」

キョトンとする彼女の表情に少しホッとした。
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