わらって、すきっていって。
好きなんだろうな。本城のこと。
あいつはなにも言わないけど、オレに分からないわけがない。
だって、そうだろ。幼稚園のころから、オレはあんこのことしか見てこなかったんだ。
分かるよ、あいつのことなら、なんだって。
「――戻ってきて、あいつら付き合ってたら、どうしよーかなあ」
校庭はすでにピカピカにライトアップされているというのに、とうとうあんこは戻ってこなかった。連絡すらなかった。
オレだって知らないわけじゃねーよ、後夜祭のジンクス。
教室で会って、話して、文化祭とか後夜祭のテンションで盛り上がって、告白しあって、付き合っていたりしたら。
だってたぶん、あんこと本城って、両想いだ。
「あれ。霧島も知ってんの、あんこが本城を好きだって」
「や、あいつから直接聞いたわけじゃねーけどさー。分かるよ、そんなん。分かりやすいし、あんこ」
「あーまあねー」
荻野が長い髪を指先でくるくるいじって、興味なさそうな声を出す。なんだよ、こいつ、結構どうでもいいのかよ、あいつらのこと。
そう思ったとき、ちょっとキツめの瞳が、ちらりとこっちを見て。にたぁっと笑いやがるので、嫌な予感がした。
「でもあんたは、違うでしょ?」
「……なにがだよ」
「あんこのこと好きだから、分かるってだけでしょ?」
相変わらず嫌味っぽくてうぜえやつ。ほんと腹立つ。
全部分かって、知らないふりして、カマかけたり、からかったりしてくるんだもんな。こいつの性格どうなってんだよ、マジで。