わらって、すきっていって。
でもやっぱり、ひとつだけ、腑に落ちない。
「……なんで振った?」
ゲームのBGMと、マシンガンの音、それからコントローラーのボタンを押す音。
ただそれだけが部屋に響いている。本城は黙りこんで、ただ画面を見ていた。答えを考えたり、口を開く素振りすらなかった。
無視かよ、おい。
「なあ、聞いてんの」
「……聞いてる」
「なんであんこのこと振ったのか訊いてんだけど、オレ」
「べつに、なんだっていいだろ」
「よくねーよ」
全然、まったく。ひとつもいいことなんかねえよ、バカ。
「あいつもう死ぬんじゃねえかってくらい泣いてたんだぞ。なに振ってんだよ。あんこのこと、好きなんだろ?」
「好きだよ」
「な……」
「好きだよ。俺は、安西さんが、好きだよ」
拍子抜け。
好きだって。あんこを好きだって、そう言い放った声には、少しの濁りもなくて。透明で、きれいで、あまりにもまぶしい一言だった。
逆立ちしたってとうてい真似なんかできっこないと思った。
「じゃあ、なんで……」
「なんでもいいだろ。……霧島こそ、安西さんのこと好きなくせに、なにをそんなに怒ってんだよ。チャンスだろ、いま、普通に考えて」
そうだよ。そうだけど。そうなんだけどさあ。
おまえだけには言われたくねーよ、そんなこと。