わらって、すきっていって。
本城はなんとも言えない顔でオレを見つめていた。言いたいことがあるならさっさと言ってほしい。そろそろ顔に穴があきそうだ。
「……いや、なに、マジで。そんな見んな」
「あ、ごめん。なんか霧島ってかっけーなって思って、つい」
「はあ!? キモイこと言ってんじゃねーよ!」
つか、どう見ても、断然。本城のほうがかっこいいんですが。いろいろと。
「……霧島、ごめん。その、なんつーか……いろいろ」
「おう」
「あのさ。俺、安西さんのこと、好きだ」
「いちいち言わなくても知ってるよ」
答えながら、残りのオレンジジュースを飲み干して、ソファに転がっているコントローラーを拾う。
でも本城はかまわず続けた。
「美夜に俺がいるように、安西さんには霧島がいてくれるって思ってた。霧島が安西さんを好きなのは知ってたし、このままうまくいってくれたらいいって。そしたら俺もあきらめられるんじゃねーかって、ぬるいこと考えて、その……振ったんだ」
「おー」
「でもさ、やっぱり、俺は安西さんが好きだよ」
「……もう分かったって。なにが言いてーんだよ」
こいつ、なんかもう開き直ってんのかな。
さっきとは違う意味で、なんだか無性に腹が立って、勝手にゲームを始めてやった。今度はプレーヤー人数ひとりの設定で。
「いろいろ……蹴りがついたらさ、俺、安西さんに、ちゃんと言う。好きだって、言う」
「おー、そうか」
これはきっと完全勝利宣言だ。そしてオレは完敗だ。いや、そんなの最初から分かりきっていたことなんだけど。