わらって、すきっていって。

私だってもう子どもじゃないんだし、ちゃんと分かっている。

こんなおままごと、もう終わりにしなくちゃいけないってことくらい。



「――ねえ。美夜、全部話したよ、小町ちゃんに」


私がそう告げると、すべてを察したのか、彼は一瞬だけひどく傷ついた顔をした。

驚いた。なっちゃんのこんな顔を見るの、たぶん生まれてはじめてだから。

そして同時に、私も結構傷ついていた。


「……そっか」


あれ。さすがに怒ると思ったんだけどな。『そっか』って、たったそれだけ?

なっちゃんは優しいなあ。

でも、優しすぎて、ちょっとつまらないよ。


「ごめんね、勝手にしゃべっちゃってー。でも流れでさあ、しょうがなかったんだよね」

「べつにいいよ」


嘘だ。そんなこと思ってもないくせに。

だって、知ってるよ、私。もう確信している。

なっちゃんが、あのかわいらしい小町ちゃんに、恋をしているってこと。


「……怒らないんだね、なっちゃん」

「ふは。なんで俺が怒るんだよ」

「べつに……それならいいんだけどさー」


どうして本当のことを言わないんだろう。小町ちゃんが好きならそう言えばいいのに。そいで、だから美夜とは結婚できない、って。

なっちゃんがそう言ってくれたら、私だって、こんなしょうもない茶番、終わりにできるんだけどな。

……いや。そんなことないかな。

いざ彼にそんなふうに言われたら、私はやっぱり泣いて怒るのかもしれない。
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