わらって、すきっていって。
何回だって想像した。なっちゃんの隣を、同じ速度で歩く私を。
もしそうできたならって、数えきれないほど幾度も考えては、悲しくて、悔しくなった。
「それは違う。絶対に、違う」
「ほんと……?」
「ほんとだよ。……ごめんな、そんなこと悩ませてたんだな、ずっと」
「じゃ、じゃあ! たとえば美夜が歩けて、小町ちゃんが歩けなかったとしても。それでもなっちゃんは、小町ちゃんのこと、好きになってた?」
ふと、私を抱きしめている腕が緩んだ。目の前に現れたなっちゃんの顔にはもう涙は光っていなくて、その代わり、彼はとても真剣な顔をしていた。
「うん、なってたよ、きっと」
ああ、バカだな、私。そんなの訊くだけ無駄なのに。
彼の曇りない言葉や視線にはいっさいの迷いもない。ただ純粋に、クリアに、彼は小町ちゃんを好きなのだと思い知らされた。
やっぱり最初から私に勝ち目なんてなかったんだ。あの手この手で彼をつなぎとめようとしていた自分が、なんだか無性に情けないし、恥ずかしいよ。
でもね、なっちゃん。
私だって、なっちゃんのこと、純粋に好きだった。大好きだった。
そこにはなんの嘘も、変な理由もないってこと、なっちゃんは分かってくれているかな。