わらって、すきっていって。
◇
教室に入ると、一瞬で分かる。すぐにその姿を見つけてしまう。
同じクラスになる前からずっとそうだった。
廊下で。全校集会で。まだ名前を知らなかったころから、その姿は圧倒的な輝きを放って、わたしの視界に飛びこんでくるんだ。
知れば知るほど好きになる。
……なんて、きのう少し話しただけで、ちょっと大げさかもしれないけれど。
「――あ。おはよ、安西さん」
でも、夢みたいだけど、ちゃんと現実。
少し高い位置にある本城くんの顔がふにゃっとほころんで、わたしに笑いかけてくれた。
同時に心臓がぎゅうっと痛くなる。だから、現実。
だって、この痛みは本物だってこと、わたしはずっと前から知っている。
「お、お、おはようっ!」
よし、言えた。それもちゃんと目を見て。
笑顔は引きつってしまったかもしれない。顔だって真っ赤になっているに違いない。
でも、幸せだって思う。こんなふうに挨拶をできること。
緊張でいまにも死んでしまいそうだけど、それすら愛おしいよ。だって、どきどきうるさい心臓が、一瞬にしてたしかな熱を持つんだから。
おはようって言ってくれる。おはようって返す。
たったそれだけで、世界中の幸福をかき集めたように思えるんだ。
すごいね。本城くんは、すごいひとだ。
こうしてあなたが目の前で笑ってくれるだけで、わたしはなんでもできちゃいそうなくらい、無敵になれる。
教室に入ると、一瞬で分かる。すぐにその姿を見つけてしまう。
同じクラスになる前からずっとそうだった。
廊下で。全校集会で。まだ名前を知らなかったころから、その姿は圧倒的な輝きを放って、わたしの視界に飛びこんでくるんだ。
知れば知るほど好きになる。
……なんて、きのう少し話しただけで、ちょっと大げさかもしれないけれど。
「――あ。おはよ、安西さん」
でも、夢みたいだけど、ちゃんと現実。
少し高い位置にある本城くんの顔がふにゃっとほころんで、わたしに笑いかけてくれた。
同時に心臓がぎゅうっと痛くなる。だから、現実。
だって、この痛みは本物だってこと、わたしはずっと前から知っている。
「お、お、おはようっ!」
よし、言えた。それもちゃんと目を見て。
笑顔は引きつってしまったかもしれない。顔だって真っ赤になっているに違いない。
でも、幸せだって思う。こんなふうに挨拶をできること。
緊張でいまにも死んでしまいそうだけど、それすら愛おしいよ。だって、どきどきうるさい心臓が、一瞬にしてたしかな熱を持つんだから。
おはようって言ってくれる。おはようって返す。
たったそれだけで、世界中の幸福をかき集めたように思えるんだ。
すごいね。本城くんは、すごいひとだ。
こうしてあなたが目の前で笑ってくれるだけで、わたしはなんでもできちゃいそうなくらい、無敵になれる。