わらって、すきっていって。
人混みのせいか、彼の顔がいつもよりうんと近い。見上げる角度が少しきついのが恥ずかしくて、どうしてもうつむいてしまう。
「安西さんたち、きょうどこ行った?」
「えっとね。パフェとわらびもちと八つ橋食べてきた……よ」
言いながらびっくりした。わたし、食べてばっかりじゃないか!
食い意地張ってると思われたらどうしよう。やだな。いやまあ、たしかに全部とっても美味しかったわけだけども。
「すげー食ってんね。いいな」
「で、ですよね……」
「……えっ? あ、ごめん違う、いい意味で!」
本城くんは左の手のひらをわたしのほうに向けて、女子は難しいな、と、ひとり言のようにつぶやいた。
わたしに困ってくれているのがなんだかうれしくて、わたしってなんて性格が悪いんだろうって思った。
「本城くんはなにしてたの?」
「俺らは清水寺行ったよ」
「清水寺! いいなあ!」
他愛もない会話をしながら、なんとなく歩きだした彼の隣に並んで歩いた。
なんだかこれって、まるでデートみたいだ。図々しいかな。わたしたちの前には守田くんと野間くんとえっちゃんが歩いているから、きっと端から見ればなんでもないグループ行動なんだろうけど。
それでも心臓がくすぐったいよ。えっちゃん。本当にありがとうございます!