わらって、すきっていって。

えっちゃんたちがお土産屋さんに入ったので、わたしたちも続くようにして入った。

きょろきょろ店内を見回している斜め上の顔を見て、指先が震えた。ついでに心臓も震えた。

ううん。心臓はさっきからずっと、わけ分かんないスピードで震え続けている。


「ほっ、本城くんはなに買うの?」

「どうしようかな。とりあえず両親になんか食いもんと、それから妹になんかかわいいストラップでも買おうかなって思ってんだけど……」


妹さんがいるんだ。本城くんの家族のことを聞くのははじめてで、どきどきした。

どんな妹さんなんだろう。本城くんの妹なんだから、きっとかわいいに決まっている。


「どういうのがいいんだろ。ちなみに安西さんだったらどれがいい?」

「えっ、わたし?」

「うん。女子が喜びそうなやつって分かんなくてさ」


なんと、責任重大だ。

たくさんのストラップがぶら下がっている棚をくるくる回して、にらめっこしていると、隣で本城くんが笑った。


「そんな時間かけてっと、安西さんがお土産買う時間なくなるよ」

「で、でも、こんな任務をテキトーに終わらせるわけには……」

「ぶふっ」


また笑われた。本城くんはよく笑うひとだ。優しい笑顔を、自然に浮かべられるひとだ。

形のいいくちびるのあいだからのぞいたかわいい八重歯に、心臓をがしっと掴まれる。もう何度も掴まれているけれど、何度だって、掴まれる。

火照る顔をごまかすために、思わず目の前にあったネコのストラップを手に取った。
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