わらって、すきっていって。

楽しかったか、という彼の質問に答える前に、えっちゃんたちがぞろぞろとお店から出てきた。

えっちゃんはちーくんの姿を見つけるなり、当然のように彼に絡みに来る。


「あれ、霧島じゃん。なにあんこのことナンパしてんの?」

「荻野てめえマジちょっと黙れよ」


女子にしては背の高いえっちゃんと、男子にしては背の低いちーくん。そんなに体格差はなくて、えっちゃんはちーくんを容赦なく羽交い絞めにする。ちーくんはもちろん嫌がるのだけど。

仲良しなふたりを微笑ましく見ていると、つん、と肩を突かれた。

ちーくんよりも遠慮がちな、人差し指一本でされたそれは優しくて、なんとなく、誰なのか分かってしまった。


「ほっ、本城くん!」


正解だ。振り返ると、そこにはわたしを優しく見下ろす本城くんがいた。


「おみやげ」

「えっ……」


本城くんがこちらに右手を差し出したので、あわてて手のひらで受け止める。

ころん、とわたしの手のひらに転がった、まあるくて白いもの。


「……これ」

「妹のお土産選んでもらったから、お礼」

「え……えっ!?」

「安西さんは『あんこ』だから『あんみつ』なんて……ちょっと寒かった?」


いいえ、むしろ突然暑くてたまらないんですが、どうしたらいいでしょう。
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