わらって、すきっていって。
えっちゃんのきれいな指がネコを弄ぶ。
「へえ、本城もなかなかやるねえ」
「や、やるとは……」
「べっつにい? あんこの恋がうまくいきそうであたしはとってもうれしいよ」
うまくいくとか、いかないとか。わたしの恋はまだ、そんな土俵にも乗れていないような気がするんだけどな。
好きっていう気持ちでいっぱいいっぱい。本城くんに好きになってもらうとか、とてもじゃないけどそんなのは別次元のことのように思えて仕方がない。
「ところでさ、さっきの話なんだけど」
「あ、うん。なんだったの?」
「なんかね、もうちょっとで陸上の大会があるみたいでさ。あたし全然詳しくないから分かんないんだけど、本城もそれに出るって、野間たちが」
だから応援行こうよ、と、なんでもないようにえっちゃんが言った。
行きたい。わたしも本城くんのこと応援したい。
でも、なんだかそれって、あまりにあからさますぎないかな。わたしが本城くんを好きだって、バレたりしない?
「……どうしたの、あんこ。行かないの?」
「わたし、そろそろ鬱陶しくないかな……」
「は? なに、どしたの」
不安で仕方ないよ。本城くんに鬱陶しく思われていたらどうしようって。
だって、委員会のときもしゃべりすぎてしまったし、遠足のときに合流したのは偶然じゃないってことも、もうバレているかもしれないし。
時々ものすごく不安でたまらなくなる。本城くんは優しいから、そういうのを鬱陶しいと思っていても、そう言えないだけなんじゃないかって。