わらって、すきっていって。
そのあと、今度の大会を応援しに行こうと思っていることと、がんばってねと一言、本城くんに伝えることができた。それだけでもやっとの思いなんだから情けない。
彼はそのまますぐに部活に行ってしまい、えっちゃんは寄るところがあるらしく、校門で別れた。
ちーくんとふたりきりの帰り道は久しぶりだ。彼が部活で現役だったころは一緒に帰ることなんてほとんどできなかったから。そうか、そういえば、ちーくんも部活を引退したんだなあ。
「あんこさあ、引退まで結局見に来なかったよな、オレの試合」
「えっ」
「本城の応援には行くくせにさ。エコヒイキだ」
「ご、ごめん……。日程とか、ちゃんと言ってくれてたらわたしだって応援したかったよう……」
「べつに、そこまでして来てほしかったわけじゃねーもん」
「もう、拗ねないでよ。ごめんってばあ」
同じくらいの目線にあるちーくんの横顔が、拗ねたように口をとがらせる。それでもその表情はどこか幼いころとは違って見えて、わたしたちもたしかに成長しているんだなと実感した。
ちーくんとの歴史って、いったいもう何年になるんだろう。
彼はわたしの、わたしは彼のことなら、ほとんどを知っているように思う。好きな食べ物から恥ずかしいエピソードまで。お互い、もう家族みたいな存在だ。
「……なに見てんだよー」
「いやあ……なんだかわたしたちも成長してるんだなって思って」
「なんだよ、オレがかっこよくなったって?」
「あはは! ちーくんはずっと、かっこよくてかわいいちーくんのままだよ」
「なんだよ、それ。バカにしてんのかよ」
少し背が伸びても。声が低くなっても。どれだけ成長しても、きっとちーくんはいつも変わらないちーくんでいてくれるから、わたしは安心できるんだよ。