ハンドパワー
そのあと両親について触れることはなかった。
何で?
何があったの?
「ねぇ、ハル」
私は1階に降り、ハルに話すことにした。
「ん?」
「渡辺さんってどこに住んでるの?」
「ああぁ。 あのじいさん。
隣町だけど… 何で?」
じいさんって…
あなたの命の恩人なんでしょ…?
「渡辺さんと話がしたい」
「じゃあ、電話で話せば…」
「ダメだよ!電話だったら…素直に話せない
ようやくそれらしいことを思い出したというのに、全然辻褄が合わない。
ハルだってあんまり教えてくれない。
だから渡辺さんと話したい」
「俺が教えない理由は、どこまで話していいのかわからないから。
下手に温秘を傷つけたくないから。
だから、より正確に教えることのできる、じいさんに聞いた方がいいよ。
住所教えるから。 行ってごらん?」