ハンドパワー

もちろん、涙は溢れた。


私は自分の部屋から出た。

「春!! 起きてる?!  春!!」

ドアの前で叫んだ。


「どうした?  温秘」

ドアを開け、心配する春。

私はそんな春を押して、部屋に入った。


「全部... 全部思い出せたよ。

でも…

あまりにも辛すぎるよ〜〜〜!!」

「思い出せたんだな!!

それでもすごいよ!!

温秘自身、今は大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃないよ!!

私はどうすればいいの!?」

「温秘…

温秘は今、
その現実を受け止めないといけないんだ。

しっかりと。  前向きに。
温秘にとって悲しい出来事だけど、人を大事にすることの意味が理解できる出来事なんだよ」
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