ハンドパワー

「待って!」


そのおじさんは私の返事を聞かずに、家から出ていった。


何が起こったの?


お父さんは?    お母さんは?


次第に涙が出てくる。


「名前は…  温秘ちゃんでいいの?」


なんでこんな知らない人に、世話にならないといけないの?

ズルッ


「うん」


私はとにかく相手に返事をした。


「そっか」


「ねぇ」

そして話しかけた。


「何?」
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