唯一無二のひと


『こら、豪太!
こんなところで、いちゃついてんじゃねーよ!』

『ヒューヒュー!カップル誕生?』


三人は年下の秋菜達を冷やかし、からかった。



『うっせい!バーカ!』

豪太はリリカ達に言うと、椅子から勢いよく立ち上がり、乱暴にドアを開けて、部屋を出て行った。



朝日山学園は女の勢力が強かった。


中高生の男子もいたけれど、皆おとなしい子ばかりで、豪太のようにイキがっている子はすくなかった。


リリカ達三人は、学園の中で幅を利かし、仕切る存在だった。


彼女たちは、親代わりであり、「先生」でもある児童指導員に取り入るのが上手い。

ここでは、先生に目をつけられると、あとあとが面倒臭かった。


秋菜は平和主義者だ。

すぐに子分みたいになった。
彼女達は逆らわなければ、優しくしてくれる。



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