唯一無二のひと
4月。
桜が綺麗な時期だから、ママ友達三人と、子連れで中央公園にお花見に行った。
中央公園は市内で一番大きな公園で桜の名所だ。
この時期、駐車場は大混雑するから、リンちゃんママがだんなから借りてきたアルファードに皆で相乗りして行くことになった。
途中、コンビニに寄り、皆は昼ご飯や飲み物を買う。
秋菜は家からお握りと麦茶を用意してきた。スナック菓子だけ買った。
お花見は楽しかった。
咲き誇る桜の木の下で、秋菜は柊と他の子供達の写真を何枚も撮った。
秋菜も豪太も幼い頃の写真が極端に少ない。
母・由紀恵には、写真を撮るという習慣がなかった。
豪太にも学園の行事などで撮った写真があるはずなのに大事にせずに何処かにやってしまった。
柊には、たくさんの想い出を残してやりたかった。
柊は、花見に来てきた老夫婦が連れた柴犬と仲良くなり、他の子供達そっちのけで、その犬のそばから離れなかった。
子供好きな性格の犬のようで、柊の小さな手で背中を撫でられ大人しく伏せをしていた。
その様子があまりにも可愛いくて、秋菜は写メに撮り、その場で豪太に送信した。