唯一無二のひと
柊が生まれる前、豪太は朝、いつもコーヒーメーカーで美味しいコーヒーを淹れてくれた。
豪太も秋菜も朝食を食べない。
コーヒーが朝食がわりだ。
結婚してから秋菜は毎朝、キッチンから漂ってくる香ばしい香りで目を覚ましていた。
豪太には、好きなコーヒーのブレンドがあり、挽いてもらった豆を自分で買ってきた。
(こだわりの豪太ブレンド、最高!っていつも言ってたのに……)
人の親となり、夫婦それぞれの役割りがあるのだから、いつまでも同じでは、いられないのは当たり前のことかもしれない。