唯一無二のひと
「…すいません…ヨーグルトなら、
さっき食べさせちゃったんです…」
秋菜がおずおずと言うと、明美は三白眼の目でジロリと見て、不機嫌な顔をする。
「あらあ。何よ。
せっかく買ってきたのに」
「すみません…
でも、食べすぎちゃうとちょっと…
すぐお腹に来ちゃうんで〜」
こんな時、実の母親だったら、もっときつい口調で言い返すのに。
下痢でもしたら大変なのは、こっちだ。
「あ、そう。柊ちゃん、ママがダメだって!」
明美は頬を膨らませ、ヨーグルトを乱暴に冷蔵庫にしまった。あまり好きではないプレーン味だったので柊は、あっさり諦めて泣かなかった。
子供の好きな明美は、甥の豪太の息子、柊を孫のように可愛がってくれる。
柊が生まれてから、ひんぱんにこの家を訪れ、菓子やら小さなおもちゃなど届けてくれるようになった。
悪い人ではないのは分かっている。
けれども、秋菜はこのデリカシーのない伯母が苦手だった。