唯一無二のひと
「うわっ…」
豪太も小さく叫ぶ。
二人の目の前に広がっていたのは、夜空一面に、びっしりと敷き詰められたまばゆいばかりの星の洪水だった。
膨大な量の細かな星たちが見渡す限り、隙間なく空に張り付き、宝石のような光を放っていた。
都会では、真っ暗なだけの夜空にこんなにもたくさんの星があるなんて……
それは、この世のものとは思えないほど、神秘的な光景だった。
百億万光年前の星の光が時を超え、
今、二人の前で目が眩むほどの輝きを見せつける。
目が慣れてくると、空のあちこちで
流れ星があるのがわかった。
星が震えるように瞬き出すと、すうっと白く長い弧を描き、消えて行く。
それはこの世の夢幻だった。
隣に立つ豪太が溜息のように言う。
「こんなの初めて見た…すっげえ、
綺麗な天の川……」
「えっ、天の川?どこ?」
秋菜が豪太の方を向いて問う。
「ほら。空の上の方。
白くボワーってミルク流したみたいにかすんでるとこあるじゃん。
あれ、天の川」
豪太の指差す方向に、星空の中に白くたなびく煙のような天の川が見えた。