渋谷駅前
大人っぽく笑う彼が大好きだ。
学生の頃の言えなかったたくさんの不安を
大人になった今なら言えた。
『嫌われてるかと思ったんだよ?』
「嫌わないよ。嫌いな人は放っておく。」
自然と顔がほころんだ。
『あのね、私手がでかくて悩んでたの。』
「知ってるよ。」
『急に来て手合わせて』
「うん」
『俺の手、逞しいでしょ?て言ってくれたよね』
「俺かっこいいね」
かっこよかった。
ありがとうって言いたかった。
私より大きな手。
涙が出そうだった。
『ありがとう』
「今さらかよ。」