利害の一致 《TABOO》
偶然
無理やり参加させられた飲み会。
席についた途端、言葉を失った。
既に席についていた男子の端でも同じように固まっている男が一人。
--勇次君…何で?
「あれ?美月、知り合い?」
幹事の多恵が不穏な空気を察したのか小声で訊く。
「ううん…ちょっと知り合いに似てて…でも、違うみたい。」
嘘だった。敢えて多恵の前では素知らぬ振りをした。
今ここで彼を知る理由を話せば、この場が白けることは間違いない。
彼の反応が怖かったが
「知り合いに似てるのかぁ…じゃ、気兼ねなく話せるかもね!」
と何とか取り繕ってくれたみたいだ。
この場にいることが害にはなっても、利になることはない。
なぜなら、勇次は婚約した彼の弟なのだから。
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