利害の一致 《TABOO》
盛り上がっていた場を乱すまいと静かに化粧室へと席を立つ。
勇次は多恵と会話が弾んでいた。
できれば口裏を合わせる算段をしたかったが、それは後からでもできるだろう。
とにかく今は穏便に済めばいい。
化粧室へと急いだ。
気付くと、メイクを直している自分にハッとする。
何をしているんだろう?
今日は頭数合わせの参加だ。
メイクを直す必要なんかないじゃない。
…どうかしてる。
自嘲しながら化粧室を出ると、その答えが待っていた。
向かいの壁に勇次がもたれ掛かって立っている。
突如、鼓動が早鐘を打った。