利害の一致 《TABOO》
「何してるの?」
動揺を悟られまいと平静を装う。
「それはこっちのセリフだろ?美月さんこそ、こんなとこで何やってるの?」
「あ、これはね、私は断ったんだけど、どうしても数が足りないってことで無理矢理参加……本当よ。勿論、黙っててくれるよね?」
「ああ、こんなこと言えないよ。せっかく美月さんと密会できたのに言う訳ないじゃん。」
耳を疑った。
や、理性が邪魔しなければ、とうにわかっていた。
彼が射抜くような眼で私を追っていたことを。
そして、私がその矢に捕まって逃げ場を失っていることを。
そう、私は彼に惹かれている。
それを彼も知っている。
もはや抵抗はできなかった。
背中にまわる彼の腕が強さを増す。
ぎこちなく唇が重なった。
彼の舌が奥へと進む度に求められている悦びに浸っていく。
愛するが故に誰にも知られてはいけない。
利害は一致した。
END