リアル
「聞かんやったん?」
「まだ聞けんの」
「なんで? 怪我酷いん?」
「ん、酷い。まだ起きんし」
全身に鳥肌が立った。
「まだ起きんって大丈夫なん? 怪我ってどんななん?」
変な汗がじわじわと滲み始めたのがわかった。
「全身包帯巻かれとって、いま深川病院の集中治療室におる」
「集中治療室って大丈夫なん?」
「事故ったん昨日やし、車ボコボコやったらしいし」
「大丈夫なん?」
「初めてやん、サトシ事故って入院するん。やけーとりあえずヒロには言っちょこうと思って」
「ん・・・」
「なんか変わったら連絡するわ」
「わかった」
「じゃ」
突然鳴った携帯は、友達の交通事故を知らせるものだった。
携帯で聞いたからなのか、間抜けな着信音のせいなのか、そんな友達の状態を知っても、上手く飲み込めず、切れた携帯を見つめ続けていた。とりあえず理解しようと、頭の中でさっき聞いたばかりの話を箇条書きにする。
サトシが事故った。
怪我をした。
病院の集中治療室にいる。
まだ起きていない。
頭の隅っこで嫌なことを、あり得ないことを呟く自分がいる。
日常とは違う、新たな自分戦争が開戦した。
ヤバいと叫ぶ俺、大丈夫と被い被さる俺。そして、自分には何をすることもできないんだと諭す俺がこれからの予定を気付かせた。
「まだ聞けんの」
「なんで? 怪我酷いん?」
「ん、酷い。まだ起きんし」
全身に鳥肌が立った。
「まだ起きんって大丈夫なん? 怪我ってどんななん?」
変な汗がじわじわと滲み始めたのがわかった。
「全身包帯巻かれとって、いま深川病院の集中治療室におる」
「集中治療室って大丈夫なん?」
「事故ったん昨日やし、車ボコボコやったらしいし」
「大丈夫なん?」
「初めてやん、サトシ事故って入院するん。やけーとりあえずヒロには言っちょこうと思って」
「ん・・・」
「なんか変わったら連絡するわ」
「わかった」
「じゃ」
突然鳴った携帯は、友達の交通事故を知らせるものだった。
携帯で聞いたからなのか、間抜けな着信音のせいなのか、そんな友達の状態を知っても、上手く飲み込めず、切れた携帯を見つめ続けていた。とりあえず理解しようと、頭の中でさっき聞いたばかりの話を箇条書きにする。
サトシが事故った。
怪我をした。
病院の集中治療室にいる。
まだ起きていない。
頭の隅っこで嫌なことを、あり得ないことを呟く自分がいる。
日常とは違う、新たな自分戦争が開戦した。
ヤバいと叫ぶ俺、大丈夫と被い被さる俺。そして、自分には何をすることもできないんだと諭す俺がこれからの予定を気付かせた。