太陽と月



「熱は…ないな」


分かってるよ…。


「お兄ちゃん?」


「ん?」


嬉しそうな顔しちゃって。


それは兄が妹に向ける顔じゃないでしょ?


「元気だよ?暑いだけで…」


「そうなのか?だったら良かった…」


お兄ちゃんは私から離れてドアに向かう。


「あ」


でも、ドアの手前でくるっと振り向いた。


「バイトの帰りにアイス買って来るね」


それだけ言って今度こそ部屋から出た。



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