太陽と月
陽side
まさか目の前の席が彼女だったとは…。
彼女が言った“偶然ってすごい”って言葉は本当だと思う。
もし今日俺が5分家を出る時間をずらしてたら
もし今日体調を崩してたら
もし明日から休館じゃなかったら
彼女に関する発見は何もなかったから。
「あ…忘れてた」
姉ちゃんの“赤毛のアン”を先に返さないと。
席に戻ると、彼女が英文と向き合っている。
英語が苦手なのか、難しい顔をしている。
図書館セットの中から“赤毛のアン”を取り出し、返却コーナーに向かう。