太陽と月
「これ、返却お願いします」
いつもの若いボランティアの花音さんが笑顔で応対してくれる。
「あら?これ、香奈が…」
香奈っていうのが俺の姉ちゃんで、花音さんは姉ちゃんの友達。
よく野村家に遊びに来る。
「そうなんですけど…今朝頼まれて」
「陽くんも大変ねぇ…香奈何か言ってた?」
少し悲しそうな表情を浮かべる花音さん。
「図書館に一緒に行って良いかって訊かれて…勝手に行けって言いかけたら怒って返しとけって言われました」
「やっぱりね…」
姉ちゃんだけじゃなくて花音さんも何かいつもと違う。