太陽と月



勉強をしに図書館に来たのに全然集中できない。


帰ろうかな…。


そう思ってるのに…。


“問題集コーナー”から戻って来る彼を発見。


「ふぅ…」


息を吐きながら椅子に座る彼を見つめてしまう。


「…どうしたんですか?」


やっぱり敬語の彼。


「あの…えっと…やっぱ良いです」


やっぱり敬語の私。


「あ…訊いても良いですか?」


1回逸らしていた目を再び合わせる。


「変な意味じゃないけど…名前教えてくれませんか?」


聞き間違いじゃないよね?


私も知りたかったんだ。


彼の名前を。



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