太陽と月
それぞれの試練

陽side




悠樹の腹痛がおさまってから約1時間。


俺たちは家から30分程のばあちゃんの家に到着した。


悠樹の顔は心なしか緊張している。


悠樹だけじゃない。


俺も姉ちゃんも同じ。


嫌われていない父さんと母さんまでも。


みんなが3日間何も起こらないことを祈っている。


ガラガラ…


「母さん、戻りましたよー」


毎回恒例の父さんの呼びかけ。


奥からおじさん夫婦とばあちゃんが出てくる。


「いらっしゃい、よく来たね」


玄関はいつもこう。


誰が見ても“優しいおばあちゃん”なんだ。


でも、人って分からないから。





< 53 / 90 >

この作品をシェア

pagetop