太陽と月



バタン…


部屋に入ってドアを閉める。


「兄ちゃん…」


悠樹の声は弱弱しい。


「ありがと」


少し笑って言う悠樹はまだ小学生なんだと実感させられる。


「良いって…勉強したいのは事実なんだから」


「俺も…まだ算数が残ってる」


算数の宿題を顔の前で揺らしている。


悠樹も俺と同じで算数が苦手。


姉ちゃんは逆に国語が苦手。


「じゃ、頑張りますか…」


俺は昨日図書館で借りた問題集に向けてつぶやいた。



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