太陽と月



開いてみると、規則正しく並んだ小さい文字。


背表紙には“赤毛のアン”の文字。


姉ちゃんってこういうの読むんだ…。


前はもっとミステリー系読んでたな。


「兄ちゃんもう行くの?」


庭から悠樹が戻って来た。


「うん…これも返さないといけないし」


鞄に“赤毛のアン”を入れる。


角が腰に当たって痛いな…。


「お昼には戻って来る?」


悠樹が洗面所から顔を覗かせる。


「うん、多分。どした?何かあんのか?」


「母さんも姉ちゃんも夕方までいないって…」


母さんは“友達と食事なの!”って言ってたな。


そういえばもう出かけてる。


姉ちゃんは…?


何も聞いてないぞ?



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