あなたの心にいる人は… (完)
「移植じゃない方法を考えてる」


「え?」


「元から体力のあまりない葵が今移植に耐えられるかも保証はないし、ドナーが現れるまでも体力がもつかもわからない。まずは心臓の弁を人工弁に変える手術をしてできるだけの処置をしようと思う」


医者の顔で廉はきりだした


廉はここ数日私と一緒に布団に入って


私が寝付くとそっとベッドを抜け出して勉強していた


そんな廉を信用しないわけがない


廉は医者としてちゃんと私の病気を考え


向き合ってくれてる


「お任せします」


「善はいそげ。オペは明後日の予定なんだ。いいか?」



「はい。」


「わかった。準備を進めます。頑張ろうな」


目を見て頷きながら


やっぱり怖くて


泣きそうだった
< 232 / 269 >

この作品をシェア

pagetop