あたしの甘ーい幼なじみ
ぎゅっと握る手が震えている
声だって、いつもみたいに出せない
「結城さん、リラックスしてっ」
「う、うん」
舞台袖に引いたあたしに、女の子達が話しかけてくれる
でも、全然耳に届かない
次はもう、重要なシーン
セーヌとカイルの出会いの場面だ
バシッ
「……っ!?」
「ほら、肩の力抜けって」
ニヤニヤと笑う終聖は、余裕しゃくしゃくの様子
「う、うん」
「俺の出番だ。行ってくる」
「うん」
たくさんの歓声を浴びながら、終聖がステージに向かう