あたしの甘ーい幼なじみ


「…あれ、先生いないのかな?」


ガラリとした保健室


今日もけが人はいない様子です


「じゃ、消毒するからねっ」


いつの間にやら消毒液とピンセット、綿を持っている男の子


「え、あなたがするの?」


「もちろん。ほら、座って座って」


「は、はい…」


半ば強引に椅子に座らせられる


だ、大丈夫なのかな


この人…



「ちょっと染みるよ」


「……っ!」


傷口に当てられた消毒液がたっぷり染みついた綿

思わず涙目になるあたし

小さな傷なのになにこれ!

い、痛ったぁい


「ごめんね、痛かった?」



そんなあたしを男の子が心配そうに覗き込む



その顔を見た途端、あたしは思わずギョッとした

だってだって



「あたしはだっ、大丈夫ですっ」



綺麗な瞳は潤んで

今にも泣きそうな顔




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