あたしの甘ーい幼なじみ
「そう言えばさ羽衣子」
「ん?」
「俺が休んでる間なんかあった?」
いつもの登校途中、ふいに終聖があたしを見た
「ううん、なにも?」
「そっか。よかった」
「どうかしたの?」
そんなこと聞くなんて珍しい
「いや。俺の勘違いだったかも」
「………?」
おかしな終聖
「昨日はね、食堂でね――…」
「え、まじか休むんじゃなかったよ」
他愛もない会話をしながら、開いた靴箱
「うん、それでね―…」
カパッ
えっー…?
あたしの目が見開かれた
なに、これ
「羽衣子、どした?」
「えっ?ううん何でもない」
終聖の声に慌てて靴箱を閉める
「あれ、上履きは?」
「あ…無くしたままなの忘れてた!」
「無くした?」
「うん。どこかに脱いだままにしてたら見つからなくなっちゃって」
あれ、なんでだろう
都合のいい口実が、スルスルと口から出ていく
「そうなんだ?」
「うん、そうなの。早く教室行こ!」
「あー…うん。」
このままだとウソつききれない
そう思ったあたしは終聖の背中を押して教室に向かった