濡れる視線 ~彼氏がいるのに図書館で~
見つめ合うだけで、彼の想いが伝わってきた。
触れたい。
抱きしめたい。
抱きたい。
そんな熱い想いがまっすぐに届く瞳。
向かい合って、ただ見つめ合い、時々微笑み合い、視線だけで愛を語る。
これは、悪いことなのだろうか。
これを浮気というのなら、私達は何を我慢しているのだろう。
浮気にならないよう、必死に抑えている欲望がいつか張り裂けてしまいそうだった。
「寒いから風邪引くなよ」
彼はそう言って、席を立った。
そして、私の肩にそっと手を乗せた。
彼に触れられた肩の温もりを何度も何度も思い出しながら、彼氏の待つ家へと帰る。
END