逃げた花嫁 21世紀編
専務室に戻ると俺はすぐに秘書の稲葉正勝を呼んだ。


「□○社との業務提携の件だか」


「その件は社長と国君本部長がスイスへ行く事になっていますが…専務?…」


稲葉が何を今更と言わんばかりな顔をして俺を見てる。


それもそのはずだ。


親父達がスイスに行くのは数ヶ月前から決まってて俺も知ってる。

これから俺が言う事を稲葉が聞いたらどんな顔をするか見物だ。


俺のスケジュールは2年先まで埋まっており毎日分刻みで仕事に追われてる。


なぜなら俺は2つの顔を持ち2つの時代を行き来してるからだ!



「社長の変わりにスイスへは俺が行く。」


「……………。」


「わかりました。
そのようにスケジュール調整をいたします。」


表情一つ変えず一礼をして部屋を後にする稲葉を見送った。


「ふっ流石だな…。



俺がスイスに行く本当の理由を稲葉は全てわかってる。
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