《俺様的》彼女の手なずけ方
ナルを好きになる以前に、あたしたちには障害が多すぎる。



だから、好きになれないんだ。



どこかで、引いてるあたしがいる…。










「そんな覚悟……あたしにはない。ナルの一族や仕事上の関係者に、あたしを紹介するってことだよね。

大和撫子さんとの婚約を破棄して、あたしを選んだって言うの?そんなの、子供の戯言だよ。大人が絡んでいる世界で、ナルのそんな言い訳が通用するわけがない……」



「……結局、お前も清香と同じかよ」



「そうじゃないよ……あたしはただ……」



弁解をしようとしたら、ナルの言葉に遮られた。



「アイツもお前も、俺じゃなくて……三好の家しか見てないよな。俺は俺なのに……」



「だって、しょうがないじゃない。あたしはお嬢様でもなんでもないんだもん。

この学園に来たのだって、親が転勤するから仕方なく親戚の家に住まわせてもらうことになって。その人たちがただお金持ちなだけで、あたしは全然そうじゃな……」



「言い訳すんなよ。お前がどういう素性だろーが、そんなの俺には関係ないんだよ。お前自身が、好きなのに。

どこに住んでようが、全く関係ない。そうじゃなきゃ、最初から山猿なんか相手にしない」



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