《俺様的》彼女の手なずけ方
ホテルの中へ入ると、ロビーを抜けたところにあるラウンジに通された。



店の奥の方のソファに、厳つい男の人が座っている。



グレーのスーツを着た、白髪で強面のおじさんだ。



この人…確か、さっきステージで挨拶をしていた人だよね。



とはいってもお互い初対面。



向かい合わせに座らされ、違和感しかない。



「失礼だが、あなたのご両親の名は…篠原健と心さんでは?」



「えっ…どうしてそれを!?」



突然なにを言い出すかと思えば、うちの両親の知り合いなの?



あたしを見て、おじさんが震えている。



「まさか…こんなことがあっていいのか。あぁ…神よ」



神っ?



どうしちゃったの、この人。



きょとんとしていると、ナルのお父さんが笑い始めた。



「やはり、そうなのですな。この方は本郷グループの会長。数十年前に蒸発した娘をずっと捜していた…」




なっ…。




「篠原葵さん…あなたは、この方の孫だ。まさかナルが見つけてくるなんて、でかしたぞ息子よ」



まさか…このグレーのスーツの男性が、あたしのおじいちゃん?



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