《俺様的》彼女の手なずけ方
必死で説明しても、どうやら完全に頭に血がのぼってるみたいで聞き入れる余地なし。



「うるせぇ。お前は退いてろ」



あたしを振り払い、お父さんの胸ぐらを掴む。



「ナルーっ!やめて!」



殴られるっ!!



助けに入ろうとした瞬間、何かが肩を掠った。



目の前の壁に、グサッ!と何かが刺さるのを目にして…思わず、膝から力が抜けてしゃがみこんだ。



それは、向かい合っているお父さんとナルの頭上スレスレ。



ふたりも、突然のことに硬直している。



「あ~ら、ごめんなさい。手元が狂っちゃった」



リビングから、かわいらしい笑顔を覗かせているのはお母さん。



手には、壁に刺さっているのと同じ長めのフォークを持っている。



「こっ、怖いことしないでよ!刺さったらどうするの!?」



あたしが叫ぶと、お母さんが逆ギレしてきた。



「人のウチ来て騒いでんじゃないわよ!!うちは土足禁止です!!」



「あ…ハイ、すみません…」



お父さんが慌てて靴を脱いでいる。



さっきまで興奮状態だったナルも、一息ついたのか少し落ち着いていた。



< 655 / 711 >

この作品をシェア

pagetop