《俺様的》彼女の手なずけ方
「おもしろい子ね。あたしたちはなにも気にしないわよ。好きならいいんじゃない?」




こらーっ、そんなこと言うと調子にのる男がここにいるからね?




「だってさ。いいだろ?」




顔を自分の方へと向けようとするから、必死で阻止した。




「だめなの!ねぇ、お父さんのこと大丈夫なの?ニュースになってたよ」




「あぁ…けど自業自得だな。ドクターストップかかってるのに、飲酒喫煙の繰り返し。無理がたたったんだろ」




「そうかもしれないけど…これから、どうするの?家を捨てるなんて言っても、そんな簡単にはムリだよ」




「大丈夫だろ。あんな家別にどうでもいい。俺は葵とさえ一緒にいられれば…」




ナルがそう言ってあたしを見つめる。




顔にかかった前髪をよけて、フッと優しい笑みを見せた。




さっきとは別人。




嬉しいんだけど…これじゃ、黙って出てきた意味がないよ。




困っていると、お母さんが近くへ寄ってきた。




「ふたりとも、ここへ座って」




ダイニングに促され、あたしとナルは隣同士、お母さんたちとはテーブルをはさんで向かい合わせに座った。




「さっき、学園長から…色々事情を聞きました」




ってことは、電話の相手は学園長!?




犬猿の仲のはずのふたりが、一体なにを話したんだろう。




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