《俺様的》彼女の手なずけ方
「葵!」



聞き間違いじゃない…今、ナルがあたしの名前を呼んだ。



そのままあたしの方へと真っ直ぐに突き進んでくる。



目の前に立つと、片手でサングラスを外す。



懐かしい顔が、そこにあった。



ううん…前よりも、少し大人になったね。



顔の線がシャープになって、目元も以前より更に凛々しい。



「見とれてんじゃねーよ」



じっと見つめたまま、ただ感動しているとナルがあたしのおでこを小突く。



「見とれるよ…ずっと、会いたかった…現実なのかなって…なんだか、信じられなくて」



「これでもか?」



人目をはばからず、ナルがあたしを腕の中に入れる。



あたしも構わずギュッと抱きついた。



「長かったな…」



「うん…」




やっと…会えた。



ずっと会いたかったの…。



< 682 / 711 >

この作品をシェア

pagetop