《俺様的》彼女の手なずけ方
空港のど真ん中で抱き合っているから、顰蹙をかった?



退いて下さいとかって言われるのかも。



慌てて振り向くと、なぜか目の前にセナくんがいた。



どっ、どうしてここに!?



「おー、セナか。大きくなったな。そうか、葵と一緒に俺を迎えに来たんだな」



ナルがあたしから腕を離し、セナくんの頭を撫で…。



あ、やっぱり避けてるし。



子供扱いされるのが本当に嫌いだからね…。



セナくんが一歩後ろに引き、ナルの手が空を切る。



「すばしっこいな!セナ」



「え、別に」



お~、ナルにも塩対応なんだ。



「で。セナくん、どうしてここに?」



あたしが問いかけると、ポケットに手を突っ込み軽く俯く。



「葵を呼ぼうと思ったら、ナル兄に会いに行ったって聞いたから…」



「もしかして、ナルに会いに?」



「いや、違う。学園祭に向けてクラスで出し物を考えてて。リーダー的存在の男と女で意見が割れたから、俺はどっちにつけばいいか助言をもらおうと思って」



ええっ、それだけのために!?



「そういうときは。戻るまで、待てないかなぁ」



「人を待たせるのはできても、待つのが嫌いだってこと。そんなの知ってるよな」



いやー、誰かさんみたいなことを言うよね。



困っていると、たまりかねてナルが忠告してくれた。



「セナ、そういうときは別に葵に聞かなくても、友達に相談してみろ」



「友達?んなもんいねーよ」



ああ…確かに、そう。



学園長の甥っ子だからか、みんなやっぱり一歩引いてみている。



友達というよりかは、師弟関係というか。



セナくんが右と言えば、そう思ってなくても右だと合わせるような雰囲気はある。



だから余計に、ここまで追って来るほど困ってたのか。



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