空色縞瑪瑙
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中学二年生の春――――。
「あーもーっ!!なんで空ばっかりからかわれなくちゃいけないの!」
空が俺とひなたにそういった。
学年が変わり、クラスも変わり、空が虐められていたことも知らない人のいるクラスの中で、空はよくからかわれるらしい。
皆たぶん、空の反応がいちいち可愛いからそうやってからかっているだけだと思う。
その当時空は、虐められたこともあってか、かなり自分を隠していた。
誰かを直視することも嫌で眼鏡をかけていたし、今なら 色んなヘアアレンジで人気者の空も、髪はおろした状態でとても地味だった。
そんな見た目で、性格は明るく素直なものだから、そのギャップで反応がいちいち可愛いく見えた。
「空が可愛いからよ。」
「可愛くないっ」
「そうゆうのが可愛いのよ。」
眼鏡のおくの瞳は、睫毛も長くてぱっちりな目。
つまり、普通に顔を出していて、髪型もすっきりしていれば、本当は美人なのだ。
見た目は隠してるくせに、性格がオープンだから、あっという間にクラスの人気者になった。
俺はその時たまたま同じクラスで。
そんな空を見るのが好きだった。
「ほんと、お前ウケるわ!」
そんなクラスで、人気者の男子生徒、霜月冬樹が空に目をつけた。
霜月はギャグのセンスもバッチリで、顔もそこそこよかったが、とにかく話すのが上手い。