空色縞瑪瑙
自分の気持ちから逃げたくて仕方がなかった。
自分の気持ちをごまかしたくて仕方がなかった 。
そうしている間にも月日は流れ、空と霜月の関 係は親密になっていく。
俺は自分が嫌になる。
素直になれない自分と、自分のとろうとしてい る行動に。
「宙人って、意外と空のこと知らないのよね。」
ひなたが唐突に言った。
「だってそうじゃない? 空の好みの男とか、ど んな人にときめくとか、知らないでしょ?」
「・・・そうかも。」
「恋ってねぇ、簡単に盲目になれるのよ。」
ひなたは、こうゆうときだけ大人だから参る。 いつもは立場が逆なのに。
「霜月がかっこいいかは置いといて、空は霜月に惚れちゃったのよ。きっと。」
「・・・・。」
「でもね、私は空と霜月がもし付き合うことになったら全力で阻止するわ。」
「・・・・なんで」
「霜月は面白いし、いい人人かもしれないけど、 言葉が上手すぎじゃない?それにあいつはモテるのよ?女には困ってないじゃないの。 空なんか簡単に釣れるのよ。」
・・・意味、わかんない。
正直、あの時の言葉は意味がわからなかった。
しかし、今となってはわかる。そして起こる若気の至り。
俺は空に対抗し、彼女をつくった。
とにかく、空から気をそらしたかったのだ。
俺も霜月と同じで、どうにかすれば女の子には困らなかった。
俺は、以前に俺の下駄箱に手紙をいれてきた女 の子に声をかけた。
「気にはなっていたんだ。」
そんな風にかっこよさげに言ってみたら、嬉し そうに素直に笑ってくれた。
・・・その笑顔に、俺は少しときめく。
名前は佐藤明日葉。
大人しめで、小さな女の子