お嬢様になりました。
カフェで海堂と向かい合って座っていると、いろんな人がヒソヒソと話しながら見てくる。


見世物じゃないっつーの。


しかも海堂の取り巻きまでそばにいて落ち着かない。



「あの件だけどな、オヤジと話が纏まったら宝生院会長にも話をする」



婚約の件ね。


やっぱ……。



「やっぱ無しとは言わせねぇからな」



ッッ!?


エスパー!?



「お前すぐ顔に出んだよ」



そういう事……。


本気でドキッとしちゃった。



「あんたは本当にそれでいいわけ?」

「くどいんだよ。 俺の考えは変わんねぇ。 お前も一度了承したならいい加減腹くくれ」



いっつもいっつも偉そうに。


何様なわけ?


ムカつく。



「こっち向け」

「何で向かなきゃなんないのよ」



あんたの顔見てたらせっかくの美味しいご飯が不味くなる。



「可愛くねぇ奴」

「え……っ!?」



顎を掴まれ、無理矢理海堂の方へと顔を向けられ固まってしまった。


海堂の手が離れていき固まったままでいると、口元にハンカチを乱暴に擦り付けられた。



「何すんの!?」

「ソースがついてたんだよ。 ガキかよお前は」



顔が熱を帯びていく。



「だったらもう少し優しく拭いてよね!!」



私は恥ずかしさのあまりその場に居られず、逃げる様にカフェを出た。


教えてくれれば自分で拭いたのにっ!!


何なのあいつッッ。





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