お嬢様になりました。
映画を観終わり昼食を食べた後、二人で店を色々とみて回る事になった。


葵は映画の熱が中々冷めない様で、ずっと興奮して映画の話をしている。



「ほんっと、主人公凄かったなー」



映画の主人公が近くにいるわけでもないのに、憧れの眼差しで手にもったパンフレットを眺めている。



「前見て歩かないと危ない」

「大丈夫、だいじょッッ」



言ってる矢先に葵が躓いた。


葵の腕を掴み体を支えると、葵は苦笑いを浮かべた。



「ご、ごめん……ありがとう」

「パンフレットしまって」

「……はい」



シュンっとなった葵が可愛くて、つい頭を撫でた。


反省しているのか、いつもなら赤くなるのに、今回は目を潤ませ俺の事様子を伺っている葵。


ずっと園児かと思ってたけど、これじゃまるで仔犬だ。



「れ、玲!?」

「これでもう大丈夫」



手を握ると、葵は恥ずかしそうな顔をした。


いつも反応が初々しくて、葵といると新鮮に感じる事がたくさんある。



「ゆでダコ」

「しょうがないじゃん!!」



恥ずかしがりながらも、俺の手を振りほどこうとはしない。


海堂とはどうなんだろう……。


ふとそんな疑問が頭に浮かんだ。





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